もう1か月以上前の出来事になるのか。僕は骨髄バンクのドナー候補に選ばれました。結論から言うと、僕はドナーになることは出来なかったのだけど・・・今回はその一部始終を書いてみる。
オレンジ色の封筒が届いてピンときた。骨髄バンクに登録したのは10年以上前。新宿の献血センターで、本来は事前予約が必要だったようだけど特例で当日登録させてもらった。それから毎年1回は骨髄バンクの広報は届いていたのだけど、今回のオレンジ色の封筒は今までと明らかに違う。「来た!」と思った。
封を開けるとビンゴ。案内通知に記載されている「迅速コース」に目が留まる。患者さんは迅速な治療を必要としているのだろうと想像すると、より一層ドナーとして力になりたいと思った。
ハンドブックには骨髄バンクの役割や手順などについて詳しく書かれている。インターネットでもドナー経験談を複数読んでみた。恥ずかしながら、ドナーの実態を全く知らなかったので驚いた。僕が想像していた以上にドナーへの負担はヘビーだった。適切な表現ではないかもしれないけど、ドナーにはリスクしかない。一気に恐怖に襲われた。
ドナーを辞退することも出来るけど、僕の中ではその選択肢はなかった。僕が良い奴で慈善精神にあふれているからじゃない。むしろ逆。正直に言ってドナーについて調べてみて怖じ気づいた。患者さんを助けたい気持ちもあるが、恐怖に襲われ断りたくもなった。だけど、これを断ったら何ていうかバチが当たるような気がした。僕は信仰心を持っちゃいないんだけど「誰かに見られている」ような感覚は常に持っていて、ここでドナーを辞退をしたらマイナスな出来事が降ってくるような気がする。つまり利己的な理由でドナー辞退は有り得なかった。
その場ですぐに返信用書類を書き込む。家族の同意という項目があったので母親に伝えてみると以外にも反対された。ただ「やるしかないでしょ」と話すと『うーーん。まったくもう・・・。大変なことになったね』といった感じだったので合意と捉えて家族の同意の欄に丸を付けた。
返信書類を全て記入したものの、投函の前にコーディネイターさんに電話してみた。実はその時僕は通院中だった。10日前からずっと風邪気味で、ついには立っていられないくらいの頭痛が発生。調べてみたら重度の副鼻腔炎だったわけだ。
コーディネイターさんに現状を伝えると『通院中だとドナーになることは出来ない』とのこと。「でももうすぐに治るかもしれないです。実際ちょっとずつ良くなっています。僕としては是非ともドナーになりたいです」と話すと、『では書類は送ってください。お気持ちを考慮して検討をしてみます』とのことだった。だけど約1週間後にドナー不適合との通知が届く。
ドナー不適合の通知を受け取り、色々な感情が頭を巡った。もちろん患者さんの力になれなかった無念な想いもある。本当に申し訳なく思うし、他の適合者が見つかり元気になることを願っている。しかし間違いなくホッとしている自分もいる。ほんと色々。大げさだけど自分の人生を考えてみたり。とりあえず僕は再び骨髄バンクのドナー登録をする。
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