「ジャパニ ~ ネパール出稼ぎ村の子どもたち」の視聴メモ【ネパール人労働者の実情】

ジャパニ ~ ネパール出稼ぎ村の子どもたち
タカタロウ
先日、ネパール人映像作家ディペシュ・カレル氏によるNHKのドキュメンタリー「ジャパニ ~ ネパール出稼ぎ村の子どもたち」を視聴。

大変すばらしい内容で、視聴しながらのメモ書きでいっぱいになったのでブログでもシェアします。

この記事を読むことで、日本でがんばっているネパール人労働者の実情を少しは理解できるはずです。

「ジャパニ~ネパール 出稼ぎ村の子どもたち~」について

「ジャパニ~ネパール 出稼ぎ村の子どもたち~」
NHK BS1にて2020年6月14日(日) 午後10時から放送(放送時間110分)

Dipesh Kharel

Dipesh Kharelさん(画像引用:東京大学

制作者

撮影したのはディペシュ・カレル(Dipesh Kharel)さん。日本で12年暮らしているネパール人の映像作家。東京大学大学院の学際情報学府ITASIA博士課程で博士号を取得し、現在、東京大学大学院の情報学環の客員研究員でもある。

番組内容

働き手の多くが日本へ出稼ぎに行くネパールの村。祖母に育てられた9歳の少女が、東京で働く両親に呼び寄せられた。祖母の涙、母との葛藤。幸福を求めて苦悩する家族の物語

詳細

ヒマラヤを望む美しい村。そこでは、両親が日本へ出稼ぎに行った子供達を「ジャパニ」と呼ぶ。働き手の大半が日本に渡り、集落は老人と子供ばかりになった。9歳の少女・ビピシャも生後すぐに祖父母に預けられ、実の親を知らずに育った。東京に住む両親は、いつか豊かになるためと昼夜を問わず働きづめ。それでも娘と一緒に暮らしたいとビピシャを呼び寄せるが…。日本とネパール、2つの土地に引き裂かれて生きる家族の葛藤を描く

NHKオンデマンドより引用)

「ジャパニ」の要点や視聴メモ

  • 日本で出会うネパール人労働者の多くが不思議なことに同じ故郷の名を口にする。ガルコット、ヒマラヤ山脈の麓にある農村だ
  • 現在日本には9万人を超えるネパール人がいる
  • ガルコットから少なくとも1万2千人が来日。これはガルコットの働き手の半数以上
ネパール ガルコット郡

ネパール ガルコット郡

  • ガルコットは農村地域であり1日働いても600円。日本は稼げるとクチコミが広がっている
  • 親が日本に出稼ぎしている子どもは「ジャパニ」と呼ばれている。MADE IN JAPANという意味
  • ガルコットは山奥の田舎なのに私立学校が次々に開校している。出稼ぎマネー。ある学校は生徒の8割以上がジャパニ
ナワプラーバット学校

「ジャパニ」が多数在籍するナワプラーバット学校

  • これまで出稼ぎは男性の単身が多かったが10年ほど前から女性も日本に行くようになる
  • ジャパニは両親とも出稼ぎのケースが多く、それが全寮制の私立学校が乱立する理由のひとつ
  • ネパールの平均月収は2.5万円ほど。農村のガルコットは平均以下で仕事はない
  • 在日ネパール人、2000年には約3700人だったが2020年現在9万人以上
  • 9万人のうち東京には3万人ほどいて、ガルコット出身は少なくとも5000人(東京のネパール人の6人に1人以上はガルコット出身)
  • 杉並区に日本唯一のネパール人向け学校がある。7年前に設立
ビピシャの父タパ(40歳)

ビピシャの父タパ(40歳)

  • 密着のネパール人夫婦、夫は40歳で2008年来日。親戚夫婦と4人で池袋のアパート暮らし
  • 29歳の妻と共働きして借金を返済し、夫はネパール料理を親戚と共同経営してる
  • 来日費用で100万円以上も借金した
  • 夫の店、映像から横浜市鶴見区の「パナス」と特定
ネパール人料理人の給料

ネパール人料理人の給料は10万円ほど

  • 現在夫の月収は10万ほど、妻はホテル清掃員として20万円以上
  • 夫は料理人ビザで、妻は配偶者ビザで来日して働くことができる。子供をおいて夫婦で来日する理由は男ひとりでは生活できないから
  • 夫、7年前に過労から腎不全になり腎臓移植
  • 妻、日本で妊娠。妊娠9ヶ月まで働き、ネパールで出産、3ヶ月後には日本で仕事復帰
  • 妻、朝から夜遅くまで働いている。「日本で働くようになって丸一日休んだことない」(たぶん労基法違反)
  • ネパール人両親は日本ですり減るような労働をつづける
ビピシャ(9歳)と祖母

ビピシャと祖母(ネパールにて)

ビピシャと曾祖母

娘ビピシャと曾祖母(ネパールにて)

  • ガルコットに残した9歳のひとり娘ビピシャは両親(ビピシャの祖父祖母)が面倒をみている
ビピシャ ネパール

娘ビピシャは両親が住む日本を嫌う

  • 娘ビピシャは祖母をママと呼び、日本から母親が電話をしても通話を嫌がる
  • 日本嫌いのビピシャを東京によび1ヶ月生活することに
東京でのネパール人家族

東京でのネパール人家族

  • 日本のすばらしさを一生懸命アピールする父。娘ビピシャには響かない
  • 父は東京で今後もビピシャと暮らすことを強く望むがビピシャは拒否
  • ネパールでは闊達だったビピシャは東京で元気がなくなる
  • ビピシャの将来についての議論で夫婦喧嘩をするように
娘ビピシャと母(東京のアパートにて)

娘ビピシャと母(東京のアパートにて)

  • 結局ビピシャはガルコットへ帰る
同級生と会話するビピシャ

同級生と会話するビピシャ

  • この番組の個人的なハイライトは、もうすぐ母親が日本に行ってしまう9歳の男の子とビピシャの会話
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  • 男の子は目前に迫る母との別れを納得するかのようにお金の大切さを主張する
  • ビピシャ「お金よりあなたを守ってくれる人が必要よ」と、男の子は「お金があれば大切な人を守れる」と
  • 議論のあとにビピシャが歌う。「貧しくても豊かな心がいい?心が貧乏でもお金持ちがいい?」
  • ぼくはズルいから「両方だ」と思ったけど、同時にこれはクソリプだなとも思った
  • 9歳のビピシャがお金のために身体を売るひとを例にだしたのには驚いたが、普通に働いて金持ちになれるとは信じられない世界なのだろう
  • コロナ禍でこの家族の未来は不透明になっていると伝えて番組終了

まとめ:「ジャパニ」を視聴して

「なんかインド・ネパール料理店がここ数年で急増している気がする」
「この人たちの労働環境は大丈夫なのだろうか?」
「月にどれくらいの収入があるんだろう?」
「故郷はどんなところなんだろう?」

ぼくはインド・ネパール料理店が好きなのですが、ふんわりと疑問に思っていた点がだいぶ解決されました。現実はやはり厳しいもので、個別のストーリーを聞いてしまうと胸にグッとくるものがありますね。

何と言いますか、、引きつづきこの分野に関心を持ちたい、やさしい人間でありたいと思っています。

東村山市のネパール人にガルコットについて聞いてみた

番組をみた翌日、ネパール料理屋さんへ。ネパール人店員さんにガルコットのことを聞いてみたら驚かれました。ガルコットの名前を聞いたら「え!?」とパッと顔が明るくなったのが印象的。

その店員さんはネパールの「ブトワル」という土地出身だそうですが、日本にガルコット出身のネパールの友人がいるそうです。

ちなみに、その店員さんも番組密着家族と似たような境遇でした。

・5年前にひとりで来日
・現在はインドネパール料理店の店長
・オーナーではない
・現在40歳
・2年前に奥さんも来日
・奥さんはこの料理店以外で働いている
・子供は3人いる
・2カ月前に10歳の長男来日
・7月から東村山市の公立小学校に通う予定
・2人の娘はネパールに残している
・今は店の二階で家族3人で生活
・娘2人も日本に呼びたいと思っている

どうしても「自分がその店長さん、奥さん、子供だったら、、」と立場を置き換えて考えてしまいます。ネパール人店員さん、えらいですね。本当にがんばってる。

関連書籍:現代ネパールを知るための60章

「ジャパニ ~ ネパール出稼ぎ村の子どもたち」についての言及をSNSでチェックしてみたらネパール有識者のかたがたがジャパニと同時に『現代ネパールを知るための60章』について紹介されていました。

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日本ネパール協会による書籍。2020年5月31日に発売されたばかりで新型コロナウイルスの影響についても言及されているとか。より詳しくネパールと日本の関係性について知るには良さそうな本です。

それでは以上です。
長文お付き合いありがとうございました。

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16 件のコメント

  • ありがとうございます。

    実際にネパール人を清掃作業員(よく言うメイド)として
    雇用しています。

    放送があること、されたことはしってましたが
    時間的にも見ることもできず…

    本人達の話と映像とまさに実情が描かれおり
    やはりNHKだな!と思わされました。

    私のように映像で目に入れられない方のためにも
    今後も配信お願い致します。

    • 明さん、コメントありがとうございます!明さんはネパール人のかたと身近に接することがあるわけですね。コメント欄の短い文章ですが、やさしいかたのようでホッとしました。記事が参考になったのならうれしいです。

  • 初めまして
    私もこの番組をみました。
    録画してたのですが途中で切れてたので
    NHK オンデマンドで再度見直しました.
    とても良い番組であれ以来ネパールについて色々と調べています.

    ネパールの方に伝えたいです.
    日本だってつい100年前まではネパールのような辛い思いをしてる人は沢山いたのだから.
    ネパールもいつか必ず幸せは見つかります.

    私はこれからもネパールのことを気にかけていきます
    お体にお気を付けください

    • 由美さん、コメントありがとうございます!

      番組ご覧になりましたが。日本に来たネパール人労働者の実情をリアルに伝えた素晴らしい番組でしたね。コロナ禍で状況は悪化しています。自分が手の届く範囲で支えたいと思います。

  • お久しぶり!東村山にはたくさんネパール人経営のインドカレー屋さんがあるね。
    前に別のお店の方に聞いたけれど、福生に神様と称されるネパール人コミュニティの第一人者がいらっしゃるそうだよ。
    カレーの材料になるスパイスを扱う倉庫も近くにあるんだってね。
    さて、わたしの友人のネパール人も駅から1分の好立地でカレー屋さんを営む。
    つい最近まで、店内から奥様と小さな男の子と楽しそうに笑う声が聞こえていたけれだ、
    奥様は息子を連れて帰ったよ。と離れ離れになって寂しいと漏らしていたな。

  • 再放送を視ました。福島県民としては興味深いものでした。
    今から半世紀ほど前まで、福島県の双葉郡は「東北のチベット」という悲しい名がありました。
    太平洋に面するのに、10m以上の断崖が続く海岸で港が作れず漁業もままならず、断崖からすぐに1500m級の山並みになる地形、稲作の潮風でほとんどできない、かといって交通も整備されず産業も無い。
    ゆえに、住民のほぼ100%が居年の半分は出稼ぎで、家族は離れ離れが常識でした。

    そんなときにそれを打開す起死回生の事業が原子量九発電所建設でした。
    これによって、出稼ぎは無くなり、原発マネーで県内で潤沢な税収も確保させるに至ります。

    しかし、津波と原発事故。その後はご存じでしょう。

    よく似た境遇の話だと思って視ていました

  • 今年6月の初回放送を録画して、時々見ています。
    ネパールは7年程前に個人旅行で行きました。
    ネパールに行った理由は、家の近くにネパール料理店が
    あって、いろいろと話を聴いているうちに興味を
    持ったからです。

    私の市には6、7軒のネパール料理店があります。先日
    行った奄美大島にもあったので、驚きました。
    ネパール料理店が雨後の筍のようにできる理由がこの
    番組で分かりました。

    この番組で出てくるビピシャ、可愛い女の子でしたね。
    彼女は両親の期待に反してネパールに帰りますが、
    しばらくしたら日本に来るような気がします。経済格差
    には抗うことはできないですから。

    • コメントありがとうございます!

      番組を見て「この時代に日本人に生まれただけで相当ラッキー」だと思いました。
      感謝をしつつも余力でサポートしたいです。

  • 時々ビピシャのパパのお店の「パナス」に行って食事してます。ビピシャの事や奥さんのことも聞いたりしてます。コロナの影響でお店の客足も減っているようなので大変だと思いますが微力ながらお店に行ってフォローしたいと思ってます。今年になって、パパのタパさんや奥さんはまだビピシャに会っていないそうです。タパさんのスマホにある最近のビピシャの写真を見ましたが、テレビの時より大人っぽくなってました。
     コロナの影響でネパールと日本の間の行き来も容易でないと思いますので、会うのも大変なようですが、早く会えるようになることを願っております。

    • コメントありがとうございます!

      おお、「パナス」のお客さまでしたか!番組で背景を知って応援したい気持ちでいっぱいです。似たような状況のかたが地元にもいるので、ぼくは地元のネパールカレー屋さんに通わせてもらいますね。はやくコロナが収束すること、あの家族が幸せにすごせることを願っています。

  • 先ほどBS1の再放送を視聴し鶴見の店はどこなのだろうと検索しこのページにたどり着きました。子供たちの素朴な目を通して人間愛家族愛そして郷土との絆が大変よく描かれていたと思います。人の生活はガルコットのように地域環境に相応した文化を作りますが、現代は経済が文化を支配する局面が多く、私たちは人間の豊かさや幸せをどちらに置くべきなのか曖昧な時代に生きています。ビビシャが発する素直な言葉はこの二律相反的世界で私たちは何を守るべきなのかあらためて考えさせられるものでした。ダディがビビシャに叱った言葉「両手にお菓子はもてない」と、ビビシャが発した言葉「私は何も悪いことをしてないのに」なぜ郷土から引き離す。様々なライフスタイルがあるなかで経済的不自由は悪なのか子供ながら本能が発するビビシャの言葉は実に深い意味があったと思います。幸せとは、捨てる選択なのか、、守る勇気なのか、、親の愛情の衣を被った合理性の犠牲になるモノ、常に意識してゆきたいものです。願わくば彼女の輝きは一生失ってほしくないですね。地元なのでパナスに行ってみようと思います。

  • ネパール ヒマラヤ それだけしか知らない自分に罪悪感を感じました 大都会の片隅に日本経済の裏を支えるネパール人がたくさんいる事
    知らなかった 過酷な労働環境 みんな真面目に誠実に生きてる そんな中でビピシャは小さな哲学者みたいに 両親が見失ったものをしっかり見据えてる 帰宅途中の2人の子供の会話に驚く そしてコロナ禍 ネパールの方々は?

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