200円のこの小さなボトル1つで蟻さんを何百万匹も殺せます。あの悪名高き独裁者も僕には敵いません。「理想的殺蟻剤」と書いてあるけど、これは誇張ではないんです。
1時間前の話です。三角コーナーの梨の皮に蟻さんが群がっていました。行列に理想的な蜜をたらすと蟻さんは梨の皮を忘れたかのように群がります。狂ったように群がります。みんな笑顔です。だけどその甘い蜜を大切そうに仲間に持ち帰ったら最後、蟻さんは死亡します。巣ごと滅亡します。
僕は蟻さんが死んでいく姿を見る必要はありません。もがき苦しむ姿を見る必要はありません。むしろ喜んでいる姿しか目にしません。理想的です。
歩いていてふと道路の蟻さんが目に入ることがあります。いつもよけます。でも理想的殺蟻剤は使うんです。自分の卑怯さにため息がでます。
本当です。本当にため息はでるし、罪悪感すらおぼえる。そんな僕は今マンゴースムージーを飲んでいます。蟻さんが消えた台所で大好きなマンゴースムージーをシェイクして自分で作りました。そして飲みながらこうして文章を書いています。ついさっきため息をついたのに、明らかに機嫌が良くなっている自分がいます。
昨日、コラムニスト小田嶋隆さんの講演に行ってきました。「批評性がありストイックな書き手よりも、軽薄で軽薄な自分をさらけ出す勇気のある書き手の方が伸びる傾向がある」というような話を聞いて、今しがたの軽薄な僕を書いてみました。
こうして最後になぜこの文章を書いたか説明して、予防線を張っておくのも実に卑怯で軽薄です。
コメントを残す